小田原に移住したよ。

小田原移住日記

唐突な転職で小田原に引っ越した男の顛末

信州牛を食べる男3人旅。まさかの新スタイル民泊で、おじさん達が悲しみのいがみ合い。

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高級焼肉の旅。山中湖に腕利きのブッチャーを求めて。

 毎年恒例の肉焼き旅行。私とたくみが固定で、もう1名が毎年入れ替わる、くるりスタイル。 今年は3年ぶり2度目のミッチー。 コテージを1つ押さえて、夜はバーベキューと酒を楽しむのが通例。
 1回目は奥多摩檜原村)、2回目は常陸太田、3回目は山梨(山中湖)。 元々は肉に主眼を置いていなかったんだけど、1回目の奥多摩の時に、 スーパーで買った肉と、肉屋で買った肉を食べ比べ、 肉屋の肉の圧倒的な美味しさに感動したことから、「次からはちゃんと肉屋で肉買おう」ということになった。

 2回目の茨城ではしっかり肉屋で肉を買った。しかも常陸牛。 それにより「ブランド牛」の実力を思い知る。 3回目の山中湖では前回の成功体験から「信州牛を食べよう」となったが、 訪れた肉屋の店主ブッチャーメンが 「信州牛はまずい。肉は宮崎が一番うまい」 という謎の九州信仰をしていたため、 泣く泣く宮崎牛を食べた。おいしかったけど。 炭火の力も思い知ったのも3回目。 特に意識はしていなかったが、1、2回目は炭火焼きだったから、 3回目にして初めてガスコンロだったのだ。 それにより、「炭火の力の大切さ」に気付くことができた。

というわけで、4回目となる今年は下記のポイントをしっかり押さえた。

<鉄の掟 2カ条>
1. 肉は肉屋で買う(ブッチャー至上主義
 └地元のブランド牛がベスト
2. BBQは炭火

いよいよ当日。目的地は山中湖

 場所は山梨、山中湖。 理由は「宿取るのが遅れて、他が空いてなかったから」という消極的なもの。 でも、前回信州牛を食べれなかったからリベンジの意味合いもある。 悪くは無いチョイスと思っていた。

 当日、たくみとミッチーは都内方面在住なので、私が小田原から高尾まで車で迎えに行き、合流。 宿に向かう。 途中ダムやらカフェやら寄った。 詳細は割愛するけど、とても楽しく、笑顔が絶えない旅路だった。 ミッチーはたくみの結婚式依頼1年半ぶりの再会だったが、 ついに結婚するという新事実が発覚。めでたい。

 宿兼BBQ場所は、たくみがじゃらんで見つけてきた「モ〇ンガの森」。 特にしっかり確認もせずに「それでいいんじゃない?」と僕&ミッチーは言っていた。 何気ない選択だったが、それが決定的な間違いだった。 何も知らない我々は、遊び疲れた体で宿に向かう。

宿。そして伝説へ。

 宿に向かう頃にはすでに日が落ちていた。 看板が目印とのことですが、暗闇で看板が見えない。 googleマップで表示された宿の場所を一度通り過ぎてしまい、道を引き返してようやく発見。 看板は極小で、電気も何もついていないし、これは気付けない。

駐車場に車を止めて荷物をもって宿へ向かう。 道は舗装されていない坂&細い。 電気も無いためスマホの灯りを頼りにソロソロ降りる。 坂を下りるとコテージが1つ。 ここで受付をするのだろう。 暗闇で良く見えないが、音からして近くに川が流れているようだった。

コテージのドアを開けると言い知れぬ生活感。ちょっと怯む。 玄関を上がるとすぐ左手にトイレがあった。 張り紙がしてあり、「ノックしてから入ってください」と書いてある。 軽い違和感と一抹の不安が我々を襲う。

「共用?」

という心の声。
 短い廊下を抜け、そこに広がっていた光景が混乱に拍車をかける。 その部屋はダイニングキッチンになっていて、テーブルでは30代くらいの夫婦と小さな子供が3人で鉄板焼きをしている。彼らは食事中。 闖入者である我々に目もくれず、もくもくと食べ続けている。 時々キッチンに調味料を取りに行ったり、冷蔵庫を使ったり。 まさに家庭の団欒といった空気。 そしてその脇で、白髪で60歳ほど。オーナーらしき人間が、 先に部屋に入ったたくみに何やら説明をしている。 今昔庵のマスターに似ている。

 ミッチーと目を合わせると、不思議と気持ちが通じ合った。

「この家族は宿泊客?」「ここに泊まるんじゃないよね?」

私36歳、ミッチーは41歳。おじさん同士のテレパシーは気持ち悪いだけだ。宿のプランについていた温泉の券をもらって、その場を脱出。

漆黒の坂道を上り、車に乗り込み、温泉に向かう間、状況を整理する。

・我々が宿泊するのは恐らくあのコテージ(今昔庵氏の家)である
 └他に建物がある様子が無い
 └トイレ共用を示す張り紙
 └購入した肉をミッチーが冷蔵庫に入れるも何も言われず。
  (冷蔵庫の中にはおじさんの飲み物あり)
・飯食ってた家族は恐らく宿泊客
 └今昔庵氏の家族なら我々に一言挨拶するはず

考えれば考えるほど、「あの今昔庵の家に宿泊する」という結論が強化される。

ほんの数%の「別にコテージがある可能性」を胸に温泉から戻ったら、 沖縄ナンバーのヤン車に乗った謎の1人旅のおじさんが追加されており、状況は僅かに悪化。 当然ではあるが、前述の結論は当たっていた。 今昔庵氏、ヤン車おじさん、家族、我々の4種族が1つ屋根の下で夜を明かすこととなった。 子連れの家族もいるし、すごく気を使う。

劇的に下がるテンション。しかし、肉に罪は無いので、小屋に隣接しているスペースで予定通りBBQ。 アラフォーにして見知らぬ人の家にホームステイする羽目になり、 語彙力が許す限りの呪いの言葉をたくみにぶつけつつも、肉はおいしかった。 常陸牛最高説はいまだ健在だが、信州牛も悪くなかった。 これでマズかったら今昔庵氏をジビエにすることも辞さない気持ちでいたので、 犯罪者にならなくて済んだ。

今昔庵も、ヤン車氏も悪い人ではなさそう。 ヤン車氏フラっと寄ってきて、2、3会話をする場面があり、 ミッチーが小声で「入れてあげたら?」と言ってきたが、鬼の心で声をかけなかった。 誰も悪くない。ただ、今は受け入れる心の余裕がない。 それほど、このニュータイプ民泊スタイルが私にとってはショックだったのである。 私は友人たちとだけ、ゆっくり夜中まで酒を飲みたかったのだ。

繰り返してはならない悲劇。来年に向けた再発防止策

この宿をチョイスしたたくみの罪は重いが、実際じゃらんのページを見ても、 なかなかこの新スタイルの業態であることを読み取ることは難しい。 嘘は書いていないからだ。 究極的には直接宿に聞くしかないってことだ。 でも、それが面倒だからみんなインターネットで予約するんだけどな。

<新・鉄の掟 3カ条>
1. 肉は肉屋で買う(ブッチャー至上主義
 └地元のブランド牛がベスト
2. BBQは炭火
3. コテージは1グループ1つの宿【NEW!】
 └不安な場合は電話でしっかり確認する
 └安すぎるときは注意

※今昔庵のオーナーの顔が好きだったり、知らぬ人たちと一つ屋根の下で泊まりたいという方にはオススメです。