マレーシアとシンガポール旅行②
<2日目>
朝,ツアーのガイドさんがホテルのロビーに迎えに来た。
名はジェシーさん。水色のアロハシャツが似合うぽっちゃり体型の現地のおばさん。
日本語はある程度話せて,コミュニケーションには困らない感じ。
ツアーは僕らと,中年の日本人夫妻の4名。
ドライバーはモネールさんという人。
まず,キナバル自然公園の観光。
車で山道をぐんぐん行く。
おんぼろな家が多く,犬やにわとりが道路に沢山。
決してノラではなく,放し飼いになっているだけとのこと。
途中,白黒の顔写真と,そのしたに○×が書かれたポスターがあった。
選挙のポスターとのことだが,「おい!小池!」みたいな感じ。
ボルネオには何種類ものヒルがいて,木から落ちるやつ,ジャンプするやつ,
水牛にとりつくやつ,水の中にいて体の中に入ってくるやつ(いたたた!)など。
体の中に入ってくるやつは,肛門,女性器から進入するという。
一度入ってしまうと外科的手術では取り出すことができないとのこと。
出すためには血が沢山入った容器に浸かって,血のにおいで誘い出すらしい。
想像するだけで恐ろしい。
水牛にとりつくヒルは血を吸うとペットボトルサイズになるとのこと。
敢えて血を吸わせて,それをボイルして食うとおいしいとサラリと言うジェシーさんにも恐怖。
トイレ休憩はパイナップルのオブジェがある道の駅的な場所。
キナバル山がよく見える。4095メートルもあるとのことだ。
富士山と違って,頂上も形がボッコンボッコンしている。
パイナップルの切り身が売っていたので買い食い。甘くておいしい。
2リンギットだから約60円。安い。
ここでも放し飼いの犬が沢山。
人に慣れていて,後ろ足を後ろに投げ出し,スフィンクス状態で寝ている1匹がいた。
無防備に丸出しとなったその尻穴を一眼レフで激写し,「すげーよく撮れた!」と興奮気味の遠藤。
キナバル山よりも犬のアナルに重点を置いた撮影スタイルに感銘を受けると同時に,
「よし,友達やめよう」と思う。
再び車に乗り,植物公園に到着。
入口の事務所でコタキナバルを含むサバ州の簡単な説明を受ける。
虫も動物も豊富なこの地域。
年中暑い気候であるため,樹木には年輪ができず,
幹を切り倒しても正確な年代は分からないという話が印象的であった。
公園入ってすぐ,大きなラフレシアのオブジェで記念撮影。
後はジェシーさんの独壇場であった。
流石地元の人だけあって,植物に異常に詳しい。
詳しいと言っても,「何科の何という植物です」という通り一辺倒の説明ではなく,
「食べられる」「食べられない」という一点を重視した説明スタイルが特徴的。
植物の多くは漢方になるようだ。
毒がある植物は赤い看板で表示されているが,それを除けば大体食べられるらしい。
試しにジェシーさん曰く「イノシシの餌」になるという小さなイチジクを食べてみたんだけど,
渋くてクソまずかった。
ウツボカズラ見ることができて満足。
植物公園を出て,さらに車で移動。
ツアーの予定には組み込まれていないんだけど,
あのラフレシアが咲いているというので,見に行くことになった。
ラフレシアといえば,世界一大きく,クサイ花。
約5日間しか咲かず,咲き終わると真っ黒焦げみたいな状態になってしまう,神秘の花だ。
ラフレシアを育ててる人がいて,咲いたときに公開しているらしい。
畑の入口みたいなところで20リンギット(600円くらい)払って,
5分くらい歩いた木陰にラフレシアは咲いていた。
もう所々が黒くなってきていたけども,しっかりと「ラフレシア」だった。
図鑑でしか見たことがなかったので,見られてよかった。
臭いはそんなに感じなかった。
昼ご飯は近くの食堂みたいなところで食べた。
ジェシーさんは別テーブル。僕ら観光客4人が1つのテーブルで食事。
洗面器みたいなプラスチックのボウルに入れられたチャーハンと,炒め物が4種類ほど。
僕はしっかり食べたが,遠藤は何となく衛生面,味面での不安を感じ取ったらしく,
さささっと少しずつ食べただけだった。
食事を食べ終わり,4人で店の外で待っていたが,ジェシーさんが中々出てこない。
「う○こじゃないだろうか」という話が盛り上がる。
ジェシーさんも無事合流し,いよいよ山登り。
ポーリン温泉という日本軍が発見した温泉を脇目に,山道を登っていく。
山といっても悪路ではないため,そんなに大げさな格好は必要無い。
俺も半袖半ズボンにスニーカーだったし。
しかし,途中で追い越していった中国人グループは凄かった。
男女3人ずつほどの集団だったんだけども,そのうちの女子1人が何とハイヒール。
結構なスピードで,元気よく追い越していった。
「すげーな」と見送り,暫く歩く。
20分ほどでキャノピーウォークという吊り橋に到達した。
前には先ほどの中国人グループ。
ハイヒールの女性は最後に渡ろうとしたものの,怖くて進めない様子。
折角ここまでがんばったのに,まさかの脱落となり,引き返していった。あほ。
ジェシーさん曰く,観光客で落っこちた人はいないらしいが,
木に登って行う橋の工事では,落っこちた人がいるらしい。恐ろしい。
後は,心臓発作で死ぬ人もいるとのこと。
ある欧米人は橋の上でぶっ倒れ,死にはしなかったけど運び出すのに難儀したと言っていた。
その橋。5つの吊り橋で構成されていて,4つ目が一番高く,5つ目が一番長い。
3つ目と4つ目の吊り橋がとても怖かった。高い。
景色を見てる分には良いんだけど,下を見ると恐ろしい。
僕も高いところが苦手なんだけども,それ以上に遠藤が高いところ苦手なので,
遠藤の動揺を見て自らの冷静さを取り戻すことができた。
サンキューマイフレンド。
吊り橋を渡り終え,下山し,ポーリン温泉でちょろっと足を流す。
日本の温泉とは違って,並べられた浴槽の一つに,自分で蛇口ひねってお湯ためるスタイル。
全部貯めるには時間が無いし,着替えもタオルも無いので,
パン一で軽く体を流す程度に留めた。
衛生的な面でいえば限りなく怪しいと言える。
やっぱり日本の温泉が好きだ。
ポーリン温泉の脇に生えた木には,謎の虫が2匹くっついていた。
青っぽい羽を持つ,凄くきれいな虫。
ジェシーは「ゾウムシ」と言っていた。
インターネットで調べてみたら,ゾウムシって大体鼻が下向きなんだけど,
この虫は上向きだ。ゾウムシの仲間なんだろうか。謎。
公園を後にし,これにてツアーの行程は終了。帰路へ。
車中,唐突にジェシーさんが「首狩り族って知ってる?」と言い出した。
コタキナバルにはかつて,首狩りの風習を持つ部族が住んでいた。
成人になるための通過儀礼として,一人で森に出て行き,他部族の人間の首を刈って持ち帰る。
持ち帰った首は縁起物で,飾る。
勿論返り討ちになって,帰ってこないことも。
ジェシーさんの祖父の家には6つほどあった。
という話。
相手の部族を攻撃するという側面も勿論あったらしいが,
それ以上に「とにかくそういうもんだ」的な文化の面が強そうだ。
ジェシーさんは色々なものを食べる。植物だけじゃなくて,動物も。
死んだカブトムシとクワガタ拾って,「食べられる」と言っていた。
大体何でもボイルして食べるらしい。焼いたりしない。とにかくボイルする。
ボイル至上主義。
コウモリのお腹にご飯つめてボイルして,イカめしみたいに食べるとのこと。
根っからのボイラーだ。
サルもよく食べるらしい。
オランウータンは子供を捕まえて暫く育てたんだけど,
大きくなってきたから食べちゃったとか,
テングザルも食べたことがあるけど,今は保護されているから食べられないとか。
このほか,数々の,僕らからすればかなり強烈なゲテモノの部類に入る話を数々聞いた。
文章にするのもためらわれるので,ここには書かない。
サルの漬け物の話が印象的であった。
動物,生物を漬け物にする文化は日本にあるだろうか。ふなずしとか?
ホテルの近くまで戻ってきたとき,ジェシーさんが「お土産買ってく?」と。
海外事情に明るい遠藤曰く「絶対なんか買わされる。やめとけ」と。
僕としてはその「買わないとヤバイ空気」を体験したことが無かったので,
人生勉強のために言ってみたかった。
一緒に乗ってた夫妻も乗り気だったので,渋る遠藤を押し切ってお土産屋へ。
果たして,遠藤の危惧した通り,ほぼマンツーマンによる接客が待っていた。
鼻ピーの女*と,特徴のない女2名による。
途中,僕の財布のひもが固いとみるや,夫妻の方にターゲットが移行したので,
プレッシャーを逃れることができた。
ゾウの印がついたコーヒーと,黒コショウを購入。
会計の際,鼻ピー女は「チッ,こんだけか」的な態度。
確かに遠藤の言うとおりだった。
ア○アナ,滅びよ!
*鼻ピーはちらっとしか見ていないので,鼻くそだった可能性があります。
ホテルに一旦帰り,荷物を置いて再出発。
1軒目は,薬草スープのお店に行った。
肉団子やレバーなどが入ったスープとご飯のセット。
おいしかったし,賑わっていたが,全てが同じ味付けだった。
2軒目は,昨日の晩ご飯で僕らの信頼を得た双天。
ソフトシェルクラブと空心菜がおいしかった。
魚はカサゴを食べた。
骨が緑でちょっと気持ち悪かったけど,白身は絶品。
3軒目は,ホテル近くの昨日とは別のバーへ。
今考えてみても全く意味が分からないんだが,遠藤にテキーラを飲まされる。
4軒目はホテル隣接のクラブみたいなところに行ってみた。
率直に申し上げて,マレーシア到着以降1人も好みの女子を見ていなかったので,
目の保養をしたかったのだ。
勇気を出して入ってみたが,派手な格好をして自らの写真を撮りまくるブスの集団と,
それに媚びるおぎやはぎの片方みたいな光景が目の前で展開されるばかり。
黒服のにーちゃんに,「日本人?アサヒはナンバーワンビアー」と,
現地の物価からすればクソ高いアサヒビールをすすめられ,
飲んでみると絶対アサヒじゃないという始末。
失意のまま前夜に続いて屈辱の即退店&就寝。
3日目に続く。