小田原に移住したよ。

小田原移住日記

唐突な転職で小田原に引っ越した男の顛末

湯浅誠講演聞いてきた

少し前,派遣村の村長を務めた湯浅誠氏の講演を聴く機会があった。

忘れないように書こうと思ってたんだけど,時間が経っちゃったな。

一応まとめてみます。

【 】この中が湯浅さんの言ったことの要約(記憶違いと,ダバディばり意訳に注意)。

ニートと家族の問題や,派遣切り問題などにも触れつつ,

そもそも日本の構造として,

【日本では一度流れから外れてしまうと滑り止めが無く,

坂道を転がるように落ちるところまで落ちてしまう。

例えば正社員だった人が解雇される→アルバイトになるも契約解除→家賃払えない

ネットカフェ難民or泊まり込み派遣orホームレスetcっていう流れになっちょる】

なるほどなーと思ったのは,例えば「ネットカフェ難民」と呼ばれる人たちは,

ハローワークに行かないんじゃなくて,行く意味が無いということ。

【働いても給料を貰えるのは1ヶ月後。

その間生きていくための収入が無い。

ハローワークに行くヒマがあったら働かないと,その日の収入が減るか,無くなる。

そういう人たちは結局タコ部屋かネットカフェで寝泊まりして日雇いで食いつなぐ。

日銭が欲しいから。

その収入が途切れてしまうと,すぐさま寝泊まりする場所が無くなってしまう。

タコ部屋,飯場というのも現存する。

ある場所では日給7000円が支払われる。

でも家賃として,毎日2000円を取られる。

そうなると手取りは実質5000円。

もし1日休むと手取りが3000円。

2日休もうもんなら1000円ぽっちになってしまう。】

そりゃ酷い話だ。

俺は『タコ部屋』なんてもう無いと思ってた。

そんな劣悪な環境でも,人が集まるんだから雇う側は労働条件を上げる必要を感じないという悪循環。

おまけ。

http://shinjuku.cool.ne.jp/sarunokosikake/takoyaki.html

年越し派遣村は,後はホームレスになるだけだった人を踏み止まらせるセーフティネットとして,

住居を確保するためのもの。

それによって,最低限の「こだわり」を持って職探しができる。

あまりに劣悪な職場環境には人が集まらないから,

雇う側も条件を引き上げざるを得ない。

結果的に労働条件の底上げにも繋がる。

この『「こだわり」を持った職探しが可能になった』という点において,

世間からは「ワガママ言ってんじゃねえ!」という叩かれ方をした】

とのこと。

特に理由もなく「なんとなく向いてなそう」などの理由で,

勧められた職をハナから諦めるってのは確かにイカンと俺も思う。

テレビやインターネットでは働きたがらなかったり,

「そんなのは俺のやる仕事じゃない」みたいな変なプライド持った人が,

おもしろおかしく紹介されている。

彼らを見てると,なるほど「そりゃお前らが悪い」,となる。

でも,みんながみんな,本当にそうなのか。

そうではない人もいるのだ。

彼らも一緒くたに突き放してしまうのは良くない。

じゃあどうすんのか。

「どっちなのか」という選別が難しい以上,「まとめて助ける」という発想は,

そんなに批判されるべきなのだろうか。

その根拠も,「あいつら楽して助けてもらってコンチクショー精神」では,

あんまりにも冷たい社会になってしまいやしないか。

人生の岐路において、一度の判断ミスでどんぞこまで落ち込み、

そこから這い上がれない社会って、怖いぞ。

それに、「仕事なんて選ばなきゃある」なんていうけど、

俺がもしコンビニ経営でもしてたら、「ネットカフェ」に住んでるような住所不定の人間なんて雇わねーよ。

そこまで人材に困らんでしょ、このご時世。

「派遣」や「契約社員」になること自体が浅はか』みたいな論調があるけど,それはあんまりだと思う。

たしかに、あるタイミングで自ら下した選択というのは間違いない。

でも、だから何よ。そしたらもうそれで見捨てられちゃうわけ?

世界中の賢い人々の多くが100年に一度の大不況を予測できなかったのと同じで,

世の中がどうなるかの正確な予測なんて,誰にもできない。

自分の立場なんて、世の中の流れのなかでどうとでもなってしまうし、

たまたま自分が今安全な位置にいるからって、

違う選択をした人を蔑むってのは、あまりに寂しいじゃないか。

湯浅氏は社会保障の重要性を,『中流』と呼ばれる正社員の立場も絡めて話す。

まとめると,

【本来は景気が良いときこそ,賃金だけではなく社会保障の改善も同時におこなっておくべきだった。

それをしてこなかったツケが今中流と呼ばれている正社員にまわってきている。

中流の人は中流の人で,子育てや不景気の影響で生活が苦しいけど,

「非正規の人に比べれば貰ってる」という罪悪感や,

非正規の人々から「俺たちはこれだけで頑張ってるんだ」というプレッシャーにヤラれてしまってる。

企業はそのなかで労働条件を下げようとする。

雇用の機会が多ければ「やってられない」と辞めることも出来るけど,

首になったら再就職が困難という現在の社会状況では,会社にしがみつくしかない。

正社員も追い詰められてるのだ。】

これについては「よく言ってくれた」という気持ちと、

会社にしがみつくような人間にはならないぜという気持ちが入り交じる、そんな27歳でした。

具体事例も色々話に出てきて,とても面白い講演だった。

「優しさ」ってなんだろうと考えさせられました。