【石川県・加賀温泉】天にそびえる大観音『ユートピア加賀』の郷に行ってきた(2018年7月末)。廃墟なのか果たして…
ハニベ巌窟院に続く念願。加賀温泉の巨大観音を見た。
2018年先日の和倉温泉に行った帰り、金沢で丸々1日フリータイムができたので、加賀温泉の巨大観音を見ることにした。日本で5番目に大きい、73メートルもある巨大観音。いつか絶対見たいと思っていた。
しかも足元にある「ユートピア加賀の郷」という施設は、運営会社が一説によると4つ変わったとか、ハニベ同様住職がわいせつで逮捕されたとか、織田無道が一時保有したとか、現在の保有者はあの「最高ですかー!」でおなじみ福永法源の法の華三法行だとか、怪しさが満点。
加賀温泉駅は、金沢から北陸本線というローカル線で1時間ほど。特急だと30分くらい。行きは特急の時間が合わなかったので、ローカル線でタラタラ向かった。隣の席に座ったおばあさんとお話をした。金沢で温泉といえば昔は加賀温泉だったが、今では和倉温泉の方が人気があるとのこと。加賀温泉は山代温泉、山中温泉など、複数の温泉街の総称で、「加賀温泉」という温泉があるわけではないようだ。
加賀温泉駅に到着。ホームからも見えるらしいが、敢えて見ない。観音は駅の北側。改札&出口は南側に一つ。駅は改築中なのか、改札までの通路は壁もその場しのぎっぽい材質でできていて、窓も無い。石川県はICOCAのエリアらしく、ICOCAのキャラクターが賑やかしに貼り付けてあった。
改札を降りる。かつての勢いは無いらしいが、腐っても有名温泉郷。改札を出てすぐの小さな待合室には、特急を待っていると思しき様々な年齢の観光客が詰まっていた。
駅の外に出ると、バスロータリー。マジで暑い。最近大体暑いが、この日もめちゃくちゃ暑かった。そして、駅の反対側を見ると、ついに対面。巨大観音。金ぴかだ。
レンタカーを借りようとするが…&情報収集
駅から観音様のある「ユートピア加賀の郷」までは徒歩で15分ほどらしい。ただ、とにかく暑すぎて、レンタカーを借りられないかという「楽したい気持ち」が湧いてきた。加賀温泉にはいくつかレンタカー屋がある模様。ニコニコ、ニッポン、日産と掛けるも、全滅。最後のトヨタに掛けると、少し大きめの車ならあると言われた。8千円ほど。1人だけだし、ちょっと高い。どうしようかなと迷いつつ窓口の方に「あの観音まで行きたいんですけど、歩きだと結構きついですよね?」と聞くと、「15分くらいだし、あんなところわざわざ車借りてまで行くところじゃないよ」とありがたいアドバイス。この言葉に勇気付けられて、歩いていくことを決意した。
なんとなく車を借りる事をためらったもう1つの理由が「ユートピア加賀の郷が今どんな状況かわからない」だ。すでに営業していないという情報もある。また、どんな場所にあるかもわからない。車が近くまで入れない可能性もある。
歩いていく事を決めたが、道もわからないし、ちょっとでも情報が欲しい。あと、朝から何も食べてないから食事場所の情報も。駅の中に戻り、観光案内所で質問してみた。
まず、食事は南口の「くいもん屋」を紹介されたが、あまり面白みを感じなかった。北口に地元の人がいくような定食屋があるとのことなので、そこにいくことにした。
次に「あの観音さまを近くで見たい」と言うと、道を教えてくれた。ただし、「あの観音様は歴史的な建造物ではないので、気をつけてくださいね」という注意が。あんだけ目立つから、何も知らずに興味を惹かれる人もいるのだろう。親切。そして、さらに気になる一言が。
「2週間くらい前から固定電話が通じなくなったので、営業しているかどうかわかりません。」と。つまり、「ユートピア加賀の郷」はどうやら廃墟ではなく、少なくとも最近までは営業していたということだ。
末広亭で腹ごしらえと、引き続き情報収集
線路の下をくぐる細い通路を通って、駅の北側に出る。教えてもらった定食屋「末広亭」に向かう。店の入り口でおばちゃん2名が雑談中。1名は末広亭の人のようだ。「やってます?」と聞くと、雑談をぱっと解散し、「やってるよ!」と入れてくれた。まだお店を開ける途中だったようで、「エアコンすぐに聞くから、ちょっと辛抱してね!」と。店の奥から旦那さんが出てきた。どうやら2人でやっている店のようだ。焼き魚定食を注文。
他にお客もいないので、おばちゃんに「ユートピア加賀の郷」についての話を聞く。おばちゃんの話では「もうあそこは何にも営業してないよ。草もボウボウ。」という感じ。む?営業していないのか?やっぱり廃墟なのだろうか。定食は美味しかった。
いよいよ出発
腹ごしらえもして、いよいよ出発。白山台口という信号を山の方に向かって登っていく。このあたりは「松が丘団地」らしい。右手には貯水池。堆積物も多く、きちんと整備されている様子が無い。昨今の異常な大雨もあり、不安になるような造りだ。池では大きな鯉が泳いでいる。
その貯水池にかかる橋を渡ると、右手に「観音ホテル」がある。これはもう明確に廃墟。洗濯機などが不法投棄されている。
観音ホテルの脇道を登っていく。木に「観音院 加賀寺」という、比較的新しい看板が掛けられていた。これが今の運営母体だろうか。運営してるならばだけど。
坂を登りきると、右手に階段が見えるので、登る。すると、左手に観音様のいる施設、右手に先ほどの観音ホテルの裏側、というところに出た。まずは右手に行く。右手は階段になっていて、門がある。そこには立派な阿吽が。目力がすごい。
階段を降りて、しばらく探索。人気は無い。完全なる廃墟だ。ゴルフバックや、人形、空き瓶などが捨ててある。カラオケや、温泉があったような看板もある。
引き返して、いよいよ観音さまを見る
先ほどの分岐に引き返して、いよいよ観音様とご対面だ。観音様がいる施設?公園?には入り口、受付があり、中には1人おじいさんがいた。入館料500円とのことで、支払う。
めちゃくちゃトイレを我慢していたので、トイレの場所を聞くと、ちゃんとトイレはあった。水も流れた。ウォシュレットは設置されていたが、作動しなかったことをここに記す。
そして観音様をじっくり眺める。めちゃくちゃでかい。牛久や仙台と比べるとサイズは小さいが、なかなかの大きさだ。何より金色。日本の巨大仏、観音って大体白い。金色に塗っちゃうってすごいことだと思う。そのセンス、着想、そして着色。見事というほかない。
観音だけではなかった、この謎寺の見所
まず入って右手の建物。入り口すぐに巨大数珠。そして2メートルほどの小さな観音像。さらに奥に通路は続いていて、その先には金ぴかの五重塔がある。結構でかい。
その建物の入り口近辺には小さなお堀と、幅の広い階段が。
階段上部は何か像が置いてあったような痕跡がある。おそらく横並びで10数体の像が飾ってあったんだろうが、何らかの理由で撤去されたのだろう。
ここ以外にも、いくつか撤去されたような像の台が見受けられた。
その先の建物は、屋根瓦が大変なことになっている。雨漏りとかすごそうだが、こちらは中に入ることはできない。
堀には一匹金ぴかの鯉がいた。この時、よく遊びにきていると思われる地元の子供たちが堀を覗き込んでいて、「この金ぴかの鯉を見るといいことがあるんだよー」と話していたので、「どんないいことがあるの?」と聞いてみたら「えーとね、どっかに書いてあったんだけど…」とのことだが、結局わからなかった。
お堀の脇には鳩の置物があった。よく見れば偽物だが、なかなかリアル。
入って左手には先ほどトイレがあった建物。その上は本殿になっている。特に面白くはない。そしていよいよ観音。
観音様を取り囲む見所の数々
観音様はぐるりと屋根付きの通路で囲われている。正式には左回りとのことだが、間違えて右から回ってしまった。なので入って右手。まずあるのは世界一の大きさを誇る「大梵鐘」。鐘だ。金ぴかで巨大。そして、それを鬼が担いでいる。龍もいる。
龍の口の中をよく見ると、何かホースの先のようになっている。もしかすると、ここは池のように水が入っていたのかもしれない。そうだとすると、すごいお金のかかった仕掛けだ。
次は、「加賀三十三間堂」。お釈迦さまの一生を人形で表現した釈迦八相。そして、1188体の千手観音を見ることができる。千手観音の方は撮影禁止だったが、マジで立派なものだった。圧倒される。
観音様の内部へ
「中に入ることは叶わないだろうと思っていたが、ドアが空いていて入ることができた。
中に人気はなく、うるさいほどの静寂。小さな観音様が刻まれた金ぴかの板、金ぴかの観音様が所狭しと並んでいる。そして、中央には今まさに胎内に入っている観音様の小さい版(180センチほどだろうか)があった。なぜか床はびしょびしょに濡れている。
巨大観音の足元に「世界平和祈願」
胎内から出て、ぐるりと大観音の正面に回る。すると、足元に何かある。近づいてみると、「世界平和祈願」とある。3,000円を払うと金箔がもらえて、それをここに貼ることで世界平和を祈願するらしい。
足元からお寺全体を見回すとこんな感じ。
一通り回ったので、受付へ。そして天空庵
受付へ戻ると、すぐ脇に「天空庵」という看板が見えた。どうやら食堂のような場所だった様子。すでに廃墟化している。
これで一通り見学は終了。受付で御朱印をもらうこともできた。受付のおじさんが日付とか書いてくれた。「北陸白壽番外霊場」「真言宗」「観音院加賀寺」とある。
「北陸白壽番外霊場」で検索すると、こんなページが出てくる。住所は一致する。気になるのは日付だ。「(2002.5)」とある。これはどういうことだろう。
「ユートビア加賀の郷」の検索上位のこのページによれば、変遷は下記の通り。
名前が次々と変わっているのでややこしいですが、まとめると
ユートピア加賀の郷(1987〜2000)
密教禅大本山豊星寺(2009〜?)
観音院加賀寺(?〜2015)
天空聖陵 加賀の郷(2016〜)ではないかと思います。引き続き調査中です。
上記ブログが誤っている可能性はあるが、「観音院加賀寺」は2015年以降の取得となっている。また、現在はあの「法の華三法行」が買い取ったのではという紀藤正樹弁護士のツイートもある。
天空聖稜を福井なのに石川と誤ったのは法の華自身が石川としていたからですが、12月11日(今週日曜日)の天行力大祭は、かっては廃墟だった石川県加賀市の加賀寺を「加賀行場」と呼んで開催します。買ったのかな?地元の人、誰か調べてほしい!>https://t.co/i3w6TniUQP https://t.co/C8AKm7NAvq
— 紀藤正樹 MasakiKito (@masaki_kito) 2016年12月8日
が、そのような痕跡は今回見当たらず、「寂れたお寺が細々と営業している。いろいろ修繕するお金はない」という状態に見えた。
受付のおじいさんに「ここ毎日やってるんですか?」と聞いたら「毎日やってるよ」とのこと。ほんとかな。ただ、この日はキチンと営業していて、僕のほかに4、5組のお客さんがきていたので、一応営業しているのは事実のようだ。さすがに「法の華三法行の方ですか?」とは聞くことができなかった。
名残惜しかったが、時間が限られていたので寺を出る。帰り道、最初にみた「観音ホテル」の廃墟前で、先ほどの子供達が遊んでいた。楽しそう。
加賀温泉駅に戻り、山代温泉へ。
乗らなきゃいけない電車まで約1時間。汗だくだったので、どうしても温泉に入りたい。一番近いのが車で15分ほどの「山代温泉」だというので、タクシーで向かう。
行きのタクシーの運転手さんと少し話す。この日は連休の真ん中だったが、西日本の豪雨の影響でお客さんは少なめらしい。新幹線ができてから東京のお客さんも増えたが、やはり関西からのお客さんも多いため、打撃は大きいとのこと。
観音関連の情報を聞くと、「あそこ行ったの?温泉だけはまだ営業してなかったっけ?」という。温泉というと、観音ホテルに看板はあったが、とても営業しているようには見えなかった。
山代温泉の総湯に到着。連休最終日というのに、結構空いている。廃墟も目立つ。温泉はとてもよかった。リフレッシュ。
温泉を出て、総湯の売店で「温泉卵アイス」を食べる。温泉卵とアイスをよく混ぜて食べるとのこと。正直見た目はちょっと「うえっ」って感じだが、食べてみると意外に美味しかった。山代温泉ではお土産として箱入りの温泉卵を売っている。温泉卵風のお菓子ではなく、温泉卵そのもの。面白かったので1箱買った。
時間がない。タクシーを呼ぶ。帰りのタクシーの運転手さんは「昔はもっと栄えてたんだけどね。もうここらじゃ女を買うこともできない」と。昔はこの辺りの温泉もピンク系商売でがっつり稼いでいたらしいが、今は厳しくなってさっぱりだという。
観音についても聞いてみると、「あの観音も持ち主が4人くらい変わってる。一時期織田無道が40億で買うって話があったね。」と。
続けて「あそこは温泉があるでしょ。松が丘団地ってのがあのあたりにあって、そこの人たちが500円で温泉入りに行ってるはず」と。どうやらこの辺りの人にとってみると「大観音=温泉」のイメージらしい。しかし、先ほど見てきたばかりなので断言できるが、あの場所で温泉は営業していなかった(帰ってから調べても間違いない)。もはや情報をアップデートするような興味の対象では無いのだろう。
ちなみにそのタクシーの運転手さん曰く、観音様は避雷針になっている&夜になると目が光るらしい。残念ながら夜まではいられなかったので、次回は山代温泉に一泊したいと思う。