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小田原移住日記

唐突な転職で小田原に引っ越した男の顛末

2019/2020シーズンのFリーグのキャッチコピーについて感じたこと

2019/2020シーズンのFリーグのキャッチコピーが決まったらしい。

Fリーグ2019/2020 キャッチコピー決定! | Fリーグ公式サイト

それがコレ。
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日本フットサルリーグ 最強の5人制フットボール


これに対して否定的な反応が多いらしい。結論を言うと、僕もその一人だ。twitterで「ダメなコピーだな」だけつぶやくのも嫌だったので、自分の考えを整理するためにも書いてみた。

フットサルメディアの論調①

今回のコピーについて、フットサルメディアの記事を見つけた。

f-sal.com


上の記事では「ネガティブな意見」について、筆者も最初そう思ったという形で紹介している。

フットサルのトップリーグであるべきはずのFリーグが、13年目を迎える新シーズンで今さら“フットボール”という言葉を用いる必要があるのだろうか? もっと言えば“フットサル”という言葉にプライドがないとも感じた。

フットサルという言葉は認知されているし、その言葉を大切にすべきという意見だ。

それを踏まえ、記事の筆者は「その気持ちも分かるし、変化は怖いけど、新規顧客開拓のためには必要なこと」と反論している。

フットサルメディアの論調②

もう一つ読んだ記事はこれ。
【futsalEDGEオピニオン】「最強の5人制フットボール」の本質は何か? Fリーグの打ち出した新戦略を考える | FutsalEDGE

「フットサル派」とされるのは既存の関係者、ファン・サポーターであり、「フットサルはフットサルだ、サッカーとは違う」というプライドのもとにこの業界に足を踏み入れてきた人たち。だから彼らは、キャッチコピーに対して「フットサルのプライドはないのか」と嘆くのだろう。

同時に「フットサルはすでに市民権を得ている」という考え方もある。

前出の記事と同じく、否定派の心情や考えに一定理解を示しつつも、基本的にはそれらを「古い考え」とした上で、「市民権を得ていない「見る」フットサルを広げる、という明確なメッセージ」であるとして、今回のコピーを歓迎している。

僕が考える、今回のキャッチコピーがダメな理由

いずれのメディアの指摘も、僕はあまりしっくりこなかった。まず、キャッチコピーとは何か。wikipediaを引用する。

主に商品や作品の広告など、何らかの告知や宣伝に用いられ、謳い文句や煽り文句となる文章である

要するに、宣伝用の短い文句だ。短文で引き込む必要がある。例えば下記にまとまっている。

https://liginc.co.jp/life/matome-life/131357

これらの「良い」とされるキャッチコピーを見て気付いたのは下記2つ。

①キャッチコピーと商品・会社の距離感が絶妙
 コピーから直接的に商品や会社は思い浮かばないが、
 つながればいかにもしっくりくる。
②主張があり、それを世の中に主張している
 現状から一歩先を見た主張が含まれている。
 少しピリっとしたもの。

で、Fリーグである。

日本フットサルリーグ 最強の5人制フットボール

まず頭に長い組織名が入っている。ただの組織名である。①で書いた距離感については「近すぎる」と言わざるを得ない。「やっちゃえ日産」の日産のように、2文字くらいなら何とかなるのかもしれないが、組織名が長いという不幸にも見舞われている。

後半も「最強」をひねりなく使うのが安っぽい。それは置いといたとしても、残念ながらコピーを通して主張を感じることはできない。②の部分を満たしていない。主張の見えないコピーでは、Fリーグ、フットサルに興味が無い多くの人には届かない。敢えて5人制とするならば、「フットボール」ではなく、認知度の高い「サッカー」という単語で良かった。フットボール」にしたところに、小さなプライドを感じてしまい切ない。

そもそも、「日本フットサルリーグ 最強の5人制フットボール」が正式というが、ロゴマークに「日本フットサルリーグ」の表記は無いので、広告等で利用する際は基本的には「最強の5人制フットボール」のテキストだけが使用されるのだろう。キャッチコピーなのに、最初から一部だけ切り出される想定になっているのがおかしい。「日本フットサルリーグ」が入るビジュアルはなぜ無いのだろうか?使われないなら要らないのではないか。

その他に気になるところ。

「最強の5人制フットボール」って、「フットサルって何?」って聞かれた場合の回答でしかない。つまり、振り向かせるための言葉ではなく、既にこちらを見ている人との会話である。

この記事(http://www.futsaledge.jp/archives/17963/3)では、ただでさえ少ないFリーグの観客動員が減少傾向にあることに触れつつ、短期中期のターゲットについてこのように言う。

だから既存ではない人たちに、Fリーグをリーチさせていくこと、ターゲットをそこに定めることが重要になるのだ。

そうだと思う。ただ、そのターゲット像、狙いがキャッチコピー上まるで表現されていないことに違和感を感じないのだろうか。

 今回のFリーグの新キャッチコピーに対して賛否両論があることも、そこに議論が生まれることも大歓迎だ。ただしそれは、本質的な話し合いでなければあまり意味を持たない。キャッチコピーそのものについてあれこれ言うのではなく、Fリーグの価値とは何なのか、そしてどうやってそれを、今までFリーグに触れたことがない人に届けるのかを考えるべきだということだ。

出てきたキャッチコピーそのものを無視して、Fリーグの話だけをするのは本質的議論なのだろうか。キャッチコピーはその組織の狙い、本質を端的に表しているはずだ。そうでないならば、キャッチコピーに何の意味があるのだろう。

キャッチコピーがどのような意図と目的を持って設定されたのか。そこに目をつぶって前向きにFリーグの今後を語ることは、ただ臭いものにフタをしているだけだ。メディアを含めた業界の態度にこそ、問題の本質が隠れているのではないか。

Fリーグがどうやって拡大しようと思っているのか。それを外の世界に伝える手段が課題だとするならば、キャッチコピーが本来担う役割は小さくないはず。フットサルメディアは根拠のないポジティブなメッセージで議論を誘導すべきではない(できてないけど)。いわゆるボディコピーの部分について、Fリーグがきちんとその主張、根拠を説明してしかるべきだ。今起こっている賛否両論は、ただの情報不足から来る混乱に過ぎない。

Fリーグ公式サイトのリリースは下記ページにある。

Fリーグ2019/2020 キャッチコピー決定! | Fリーグ公式サイト

そこにある説明文はたったこれだけだ。

フットサルを全ての人が理解できるよう「5人制フットボール」と表現し、「Fリーグの認知拡大」のため、Fリーグを日本フットサルリーグと表記しました。

僕は少なくともこのメッセージから、Fリーグが思い描いている未来、意図を読み取ることはできなかった。
しかし、FUTSAL EDGEでは違うようだ。

今回のキャッチコピーの本質は、日本の「フットサル」についての議論ではなく「Fリーグ」のマーケティングにあるからだ。どうしても「5人制フットボール」に話が言ってしまいがちだが、実は先に触れた「『Fリーグの認知拡大』のため、Fリーグを日本フットサルリーグと表記しました」という説明に、今回のキャッチコピーの狙いがすべて語られている。

とても物分かりが良いと感じる。この説明だけで本当に足りているのか。出されたお題を恭しく受け取り、突っ込んだ質問もせず、好意的に解釈するのが役割のメディア。それは、そのコミュニティの外から見れば「提灯もち」であり、そんなメディアしかいないコミュニティであれば、それは「ムラ」と呼ばれてしまう。

フットサルが好きだからこそもどかしい

観るスポーツとしてもフットサルは楽しい。5/26,27で開催された開幕戦はAbemaTVで観戦した。どの試合も面白かった。アナウンサーがしゃべってるのかと思ったら北原さんだった。喋り上手過ぎ。

でも、実際に観戦に行くかと言われると、一歩足りない。フットサルに近い僕でもそうなんだから、世間の人はもっとそうだろう。これが13年続いている。そこに問題意識を持っているなら、フットサルって何?と聞いてくる人をメインターゲットにするのではなく、他の娯楽と戦っていく。まずはそんなビジョンを明確に示した上で、もしまたキャッチコピーをつくるならば、そんな気概が伝わるようなものだといいなと思う。やっちゃえ、Fリーグ

追記

こんなこと書いといて、今週末小田原アリーナで行われる湘南の試合を見に行くことにしました。僕の抱いているのはただの先入観による誤解なのか、それとも。楽しみ。