結婚式後の悲劇
先日会社の同僚(男)の結婚式に出た。場所は都内某所。
僕は披露宴から出席。とても良い式だった。
そして2次会。
会社の人間は俺の他3名ほどが参加。
会社絡みの招待客としては,新郎が仕事上の繋がりがあるNさんという業者の方が参加した。
僕も昔一緒に仕事をしたことがあったので面識はあるものの,
仕事の話意外は全くしたことが無い。
初めて色々お話をすることが出来てとても良かった。
Nさんは新郎新婦を見るにつけ「奥さん本当にお奇麗ですねー」と,
しきりに新婦を褒めていた。
確かに新婦はとても奇麗な人であった。
2次会,3次会と無事終わり,帰り道へ。
僕と,2次会で知り合った女の子と,前述のNさんの帰りが同じ方向だった。
3人ともほろ酔い以上泥酔未満。
当たり障りの無い会話をしながら電車に揺られていた。
すると,その時突然そのNさんが攻め入った。
「いやー,それにしても本当にお奇麗ですよね~」
思わず「!」という顔になる僕と,女の子。
Nさんは僕より10歳くらい年上だけど,見た目は凄く若くて,カッコイイ。
僕は何分Nさんとまともに話をしたのが今日初めてであり,
そりゃ私生活については未知数ではあった。
まさか仕事上の付き合いがある僕の目の前で,初対面の女性を口説くとは。
真面目そうな人に見えるが,ここまで大胆とは。
どうするつもりだ?お持ち帰りを狙っているのか?
それなら僕は次の駅で降りるのが大人のマナー?しょこたん大好き!
と,頭の中がグールグル。
言われた女の子はというと,「全然そんなこと無いですよ~」と,
言いながらも顔がニヤニヤ。
まんざらでも無い様子,というより,「シャーオラー!(亀田興毅)」といった趣。
その後もNさんはその子を褒める褒める。
「本当に奇麗で,かわいいし,美人ですよ~」
「全然そんな事ないです~」の応酬。
完全に空気,良く見積もってもマイナスイオンと貸した僕。
これはいよいよ世界一エレガントな途中下車を見せてやるべきか。
途中駅に停車し,
「すみません,水っぽい下痢みたいなので僕はここで」
そう言いかけた時,ハッと気付いた。
Nさんの褒めている言葉が,2次会の際に新婦を褒めていた言葉と全く同じだ!
これは・・・
そう,Nさんは2次会で見た「新婦」の事を褒めていたのだ!
酔っぱらっていたこともあり,主語を省略してしまったことが悲劇の始まり。
女の子の「そんなこと無いですよ~」に対して,
どうりでNさんがムキになって褒めるわけだ。Nさんいい人!
こんな悲しい行き違いってありますか。
噛み合わぬ会話を交わす二人を前に,
僕はちょっと酔っぱらって眠いふりをして過ごしました。
時間で言えば5分くらいでしたが,永遠とは言わずとも10分くらいに感じた。
結局最後の最後,女の子が降りる間際になって,
さすがにその子も勘違いに気付いた様子。
小さい声で「あーそっちね」と言って,下車して行きました。
Nさんがとてもいい人だと言うことが分かったのは収穫。
しかし,女子が不憫。