6.10パックマン陥落
7年間負け無し。6階級制覇のパウンドフォーパウンド,マニー・パッキャオが負けた。
相手はティモシー・ブラッドリー。
序盤からパッキャオは要所で強い左ストレートをあてるが,
ブラッドリーは気が強く,良いのをもらっても直ぐ打ち返すという展開。
それでも3回にはパッキャオの強烈なパンチをくらって足元がふらつくブラッドリー。
5R,6Rではガス欠気味になり,「こりゃもうダメだろな」と思う。
しかし,そこからブラッドリーがうまいこと立て直す。
メイウェザーがコット戦で見せたようなガードの脇からあてるフック,
ボディ打ちをクリーンヒットさせ,ジャブも良く出るようになった。
自分のラウンドを作っていく。
パッキャオも効いたそぶりはないものの,「疲れた」という感じで失速し,手が出なくなる。
後半は完全にブラッドリーペース。
結果,判定2-1のスプリットディシジョンでブラッドリーの勝ち。
後半のブラッドリーの巻き返しは見事だったけど,
それでもパッキャオが逃げ切ったに見えた。意外な判定だった。
勝敗そのものよりも,左ストレートが奇麗に決まっても倒せない,後半の失速など,
パッキャオの衰えというのが明確に出てしまった試合となった。
良いときのパッキャオであれば,3,4ラウンドのチャンスで試合を決めていたと思う。
パッキャオも33歳で,もう決して若くはないんだけど,
年齢的なものよりも何か元気の無さというか,モチベーションの低さを感じてしまった。
それが政治活動の多忙ゆえか,アップ不足ゆえか,それは分からない。
とにかくパッキャオは何かが変わってしまったんだろう。
一方のブラッドリーは,「練習してきたんだろうな」という出来。
後半あれだけ盛り返せるのはきっと厳しい練習のおかげ。
ブラッドリーが勝った場合は再戦の契約という話もあるけど,
それよりも今はただ残念。
機運,価値の両面で,メイウェザー戦の意味合いがはっきりと変わってしまったな。
1ラウンド早々にアルセがダウンを奪うものの,ラウンド終盤は若いロハスが盛り返し,
アルセをロープに釘付けに。
こりゃこの後が楽しみだと思った2ラウンド開始早々。
カメラが寄る前だったのでよく分からないまま,倒れ込むアルセとコーナーへ行かされるロハス。
スロー映像が流れると,まあ酷い。
顔を背けて反則をアピールしようとするアルセに追い打ちの左フック。
これがアルセの左耳に直撃。
暫くの中断の後,裁定はノーコンテスト。
リングでは両者にマイクが向けられ,アルセは左耳が聞こえないと話し,
再戦を是非やりましょうとアピール。
対するロハスは「まだ出来ただろ。アルセは臆病者だ」と発言。
インタビュアーも苦笑いで「臆病者?私は英雄だと思いますが」でインタビュー切り上げ。
再戦ちょっと見たい。
さらにその前の試合が,この日一番凄かった。
26戦無敗のマイク・ジョーンズ対ベテランのランドール・ベイリー。
ベイリーは強烈な一発を時折見せるも,如何せん手数が少ない。
ジョーンズは一発を警戒しながら,時折有効なコンビネーションを浴びせてペースを掴む。
判定であれば間違いなくジョーンズという展開で迎えた10ラウンド終盤。
一瞬の隙を突いたベイリーのワンツーがクリーンヒット。
吹っ飛ばされたジョーンズは慌てて起き上がろうとするも,足がおぼつかない。
何とか立ち上がりこのラウンドを凌ぐも,ダメージは深そう。
ただ,ポイント的には1回の10-8程度じゃ逆転は無い。
そして11ラウンド。
気を取り直したように積極的に攻撃に行ったジョーンズを待っていたのは,
ベイリーの強烈なカウンターの右アッパー。
解説のジョー小泉さんがベイリーの得意技と言い続けながらもこの日一発も出ていなかった右アッパーが,ここにきて炸裂。
一瞬浮くような衝撃に,ジョーンズは全く立ち上がれず。
大逆転のTKOでベイリーの勝利となった。
試合後のインタビューでは37歳のベテランの男泣きに感動した。