小田原に移住したよ。

小田原移住日記

唐突な転職で小田原に引っ越した男の顛末

性欲的生活

高校の時読んだ,森鴎外の「ヰタ・セクスアリス」を読み直してみた。

私小説は嫌いな方だけど,まあ恋愛中毒セックス中毒の恋愛小説家の書いたんではないから,

読んでみたんだ。

恋愛小説嫌いについてはまたの機会にするけどさ。

「ヰタ」は「いた」だけど,「性欲的生活」の訳であるタイトルの正確な読みは,

「うぃた・せくすありす」。

この作品を発表した雑誌「昴」は,発売禁止になる。

当時の偉い人が「これはエロ本だ!!」と判断したから。

作品に籠められたものから考えて,

その決断がちゃんちゃら可笑しいってのも分かる。

ただ,現代のちまたに溢れるの「性欲的生活」を鑑みると,

それに対する政府の対応も含めて,歴史の違いってのを感じる。

チャタレイ夫人だって,今見たら,別に普通。

コンビニに並んでる雑誌の表紙の方が,よっぽどスゴイ。

とかPTAの気持ちを代弁。

ただ,森氏は40過ぎてから23歳の若奥様貰ってたりするからねえ。

油断ならんよ。

(主人公は金井君。明らかに鴎外がモデル。)

最後の方には「性欲という虎を飼い慣らしてはいるが,不能ではない」

と書いてある。

虎だったり鼠だったり,ゴジラだったりするからなあ。

でも。鴎外の例えを正確に伝えるなら,

動物は1種類だけど,その動物が寝たり起きたりしてるっていう感覚かな。

どっちにしろ手のかかるもんが心の中に棲息しとるのです。

鴎外の冗談が所々に入ってるのも面白い。

特に,ドイツ留学中の宿借りたおばちゃんが迫ってきた場面が好き。

アタフタしてるのが想像出来る感じ。

ホモ(修道,男色家)との対決も,鴎外の必死さが伝わってきた。

懐に短刀持って,びくびくしてた時期があったらしい。

2度目の読書だったはずなのに,結構忘れてて,新鮮だった。

俺は高校の時に何を考えてこれ読んだんだろう。

マーカーで線が引いてあるところがあった。

けど,今の俺なら違うところ引くなあと思う。

その辺の変化も面白い。

本を読むときは,やっぱりマーカー引くといいね。

図書館のはダメだよ。

あれやるやつはダメだ。